あたまつなぎ

建築設計をしている私の頭の整理と情報整理。建築を検討している方、私のあたまのなかを知りたい方 参考までに

わすれないあたま

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ズレ

10年・5年前にあったことを

忘れないあたま

 

熊本地震(2016年4月14日)

 

被災した方々には、心からお見舞い申し上げます。

今回の地震について、改めて設計者の職能を考えました。

 

私自身も揺れを経験して身の危険を感じ、震源地の近くに前職で担当した住宅があったため、お施主さんの安否確認をしました。

直下で体験したお施主さんは、天井・壁のヒビ、ガラスの割れ、漏水、停電、建物が終わってしまった、今までの生活が終わった、と思わざるを得ない状況であったでしょう。

熊本に行った私は、1階が倒壊した建物や、傾いた建物、屋根が崩れた建物に比べると、ヒビが入っても、ガラスが割れていても構造は問題がなく、建築基準法上は倒壊では無く、安全を確保できたと考える。

それも設計者として必要な感覚でありますが、住み手と設計者の感覚の違いを感じました。

 

大きな施設であれば、緊急時の安全対策や避難計画を立てていることでしょう。

では住宅では?小規模な施設では?誰が?どのように考えるのか?

 

・緊急時に安全な行動を誘導する方法

・電気、ガス、水道の対処方法

・電気錠など機器の対処方法

などなど

建物完成時にどこまで説明をしたのだろうか?

この建物のしくみをお施主さんと共有できていただろうか?

設計して、完成して、写真を撮って、で思考が終わっていないだろうか?

 

 

これからも自問自答をしながら、設計活動続けていきます。

2016年4月18日 

 

その後、被災建築物応急危険度判定士を取得しました。

 

傾斜地のあたま

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傾斜地

傾斜地の敷地条件について、設計計画・工事監理の経験と完成後の状況をもとにポイントを考えてみます。

・構造的ポイント

・設備的ポイント

・工事的ポイント

・意匠的ポイント

と分けて考えてみます。

 

・構造的ポイント

地盤調査(土圧・水圧)が重要。

地盤調査は近隣のデータや計画によって調査方法が変わります。地盤は調査してみないと何とも言えないことばかりですが、考える時に平地と違う点は基礎にあります。

分類すると高床式、ひな壇式、半地下式でしょうか。

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高床式 



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ひな壇式

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半地下式

土に接する部分は一般的にRC造になります。上部を清水の舞台や投入堂のように木造で組むことも可能ですが建物と共にどの様に生活するかによりますね。

 

それから、土留めよう壁 についてです。

建築工事区分なのか土木工事区分なのかの判断が必要になります。分譲地のよう壁は、大規模開発による土木工事にて作られた場合が多く、古いものは構造解析ができな場合もあります。よう壁に影響がないような建物の配置にしたり、軽い建物にしたり、杭工事を施したりと配慮が必要です。

※分譲地よう壁の例

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上記の分類は、建物でよう壁を兼用する案です。

 

 

・設備的ポイント

現地調査が重要。

現地調査は計画地と道路の関係による場合が大きいです。道路の下には上下水道、道路の上には電線が通常あり、道路より敷地が高いのか低いのかによって設備ルートが変わります。計画地内にタンクを設けポンプで組み上げることも可能ですが、初期費用も維持費用もかかることになります。また状況によってはインフラがない場合や道路以外にある場合があります。土地の購入前には必ず確認が必要ですね。

 

・工事的ポイント

上記のポイントに関わることですが、現地調査で工事をする際に足場やクレーン車などの工事機材の搬入や設置する場所を想定することが重要です。これは、新築工事だけではなく、将来を見据えてです。特に水周りや屋根はメンテナンス工事が生じやすいです。近隣や道路を使用しての工事することも可能ですが、時間や費用がかかります。

※メモ_土を掘り返すと容積は1.5倍以上に。

 

・意匠的ポイント

視界的開放性が得られやすい敷地条件ですので、どの様に窓を設けるかを思考します。ただし、景色が見れるということは、近隣の生活も見えますし、上部からこちらが見られることも忘れずに。やはり敷地調査ですね。

 

まとめ

上記ポイントも踏まえてですが、傾斜地の設計思考は、フラットな部分をどのようにつくるかになります。室内空間も重要ですが、実は外部空間で何をする為に何がほしいのか?の方が重要に思えてきます。

テラス_そこで何をするのがお好みですか?

アプローチ_駐輪場は何台がお好みですか?

BBQをするならどんな条件がお好みですか?

 

傾斜地の設計思考と思っていましたが、平地でも同様ですね。工事費の違いはありますが。

図式のあたま

登場人物のあたまの図式を考えてみる。

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子供が初めて全国統一小学生テストを受けました。子供と一緒に採点をする中で算数の文書問題の解き方について色々と考えさせられました。

まず章の内容をに表してみることから始め、そこで何が題なのかを考えてにして答に導く。

 文章→図式→問題→数式→回答

すべての事柄は同じような道順を辿るように思います。

建築の大学時代は、建築空間から図面を見て、図式を考えてと、逆の道順から建築の思いを探すことが学びであった。

大人になると、評価を求めすぎて、過程を飛ばしていないか?建築物という完成時の形がそのまま正解の回答と考えていないか?と自問自答することに。

同じ時期に「図解総研」という活動が目に留まりました。重要な業界レポートや公的な機関の提言等を図解し、より多くの人に届ける支援をする活動、とのこと。

そこで、以前ブログにした「登場人物のあたま」の図式を考えてみます。

5人の登場人物が資産をつくる建築をつくるというグループに分かれて、共通の目的を幸せになるための建築物を購入すると考えるとf:id:to_my38:20201229132700p:plain

「クライアント」は外から眺めている感じかな。どのルートをたどって建築物へとたどり着くのかというような感じ。中心部にさらに細分化された業者の方がいる。

 

更に、宅建を購入するとなると

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一般的な考え方では「建築をつくる」より「資産をつくる」の意味合いが高くなり、「考える人」とは直接会うことが無いように思う。

 「土地と扱う人」と「作る人」が同じ会社であったり、決まった協力会社である場合は、建売住宅や分譲住宅・分譲マンションのルートをたどる人が多いのでしょう。

分譲マンションでは「作る人」とも会わないまま購入して、トラブルの際に知るなんて話も聞きます。

ただし、2021年施行の改正省エネ法で設計者の説明義務の追加がありますので、この図式は変わるように思います。

 

共通の目的を幸せになるための建築物をつくると考えると

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建築物は、モノというよりクライアントの生き方と考えられ、出来た建物は簡単に買い替えたり・着せ替えるモノではないので、建物自体もクライアントの一部と考えられます。

よくある道順としては

お金→土地→考える→作る

でしょうか。計画段階では行ったり来たりすることもあり、過ごしたい建築から土地やお金を再度見なおすこともある。また、作られた建物自体も資産となります。

しかし、実際に作るためには、お金と土地があってからなので、うーん。こんなかんじですかね。

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建築は、条件や要望などから図式を考えて、それを設計図面でつくった建築空間という数式を導き、その中で人が活動して幸せになることを目指していると考えています。ですので、建物の完成が最終目的ではないことを忘れてはいけない。つくる過程も幸せになる過程と考えられるように、私ができることを考えないと。

 

 

 

 

プロセスエコノミーのあたま

Win Win Wiiin西野亮廣のなかで、色々な面白いキーワードが出ていて、バラエティー番組とは言えないものでした。その中のプロセスエコノミーについて。

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プロセスエコノミーとはビジネスに関する新しい考え方

けんすうさんが打ち出した造語とのこと。

その前に今までの考え方は、どうなのかついて知らないといけませんね。

A_アウトプットエコノミー

とは、できた商品やサービスを購入するビジネス。

これまでのビジネスであり、なくなることは無いものと考える。

 例_商店などなど

 

B_サブスクリプションフリーミアム

とは、月額や年会費などの定額制によって利用し放題というビジネス。

これも新しい考え方のように思いますがすでに社会に浸透していると

 例_AmazonプライムやLINEmusicなどの娯楽系から飲食店、英会話、車など

 

C_プロセスエコノミー

とは、製作過程自体も購入対象にするビジネス。

例_クラウドファンディング・オンラインサロン・Youtubeなど

 

は会社単位では個人単位から可能ということでしょうか。これからは個人単位のビジネスが可能であるプロセスエコノミーがより浸透していくという話であった。

 

では建築ではどうなのか?

分かりやすく住宅建築で考えてみます。

建築的Aを考えると

建売住宅_できたものを購入するという考え方なので建築的A。

規格住宅_モデルハウスで確認することになるので、建築的Aなのかな。実際の土地ではないのだけれど。

分譲住宅_新しい区画の土地を購入と同時に建物工事契約を条件とする考え方なので、規格住宅になったり、注文住宅になったり、または費用を払って条件を外したりと今回の考え方の枠組みとはちょっと違うことですかね。そもそも分譲住宅地は理解できるのですが。この話はまた今度

 

建築的Bを考えると

賃貸住宅・賃貸マンションとなり、すでに普及していると言える。

また、新型コロナの影響もあり月額ホテル住まいというビジネスも普及している。

 

建築的Cとは何に当たるのか? 注文住宅?建築家の住宅?

宅建築をスーツなどに例えることがある。

レディ・メイド_既製品であること。

最近は、一度モデルハウスに住んでみて(服でいえば試着してみて)購入を検討することがあり、モデルハウスがある時点で既製品?ともいえるが、土地が違うため同じ建築とは言えない。

オーダーメイド_特注品であるが、ある一定の規格の中から体の寸法に合わせて一品モノをつくること。スーツなど

規格住宅でも水周りなどの変更ができる点ではオーダーメイドともいえる。ハウスメーカーの注文住宅も木造を鉄筋コンクリート造に変えることまでできないのでオーダーメイドかな。

オートクチュール_高級な生地で要望に合わせて仕立てること。パリコレなどかな。

オートクチュール的建築といえば、建築家の作品と呼ばれ、賞を取るため異彩のある切り口で作られたモノもある。ただし、オートクチュールの服は、ブランドイメージを信頼し、作り手の制作過程を見せないので、オートクチュールがプロセスエコノミーとは言えない。

 

 オートクチュール的建築_建築家?

建築設計業は、建築物を売ることがビジネスではない。

設計業の成果物は、請負契約としての建築設計図なのか、準委任契約として完成した建物なのか、民法上曖昧な解釈である。この話もまた今度。

建築設計図は完成建物の製作過程であり、それがビジネスになっている時点で設計業はプロセスエコノミーであるとも言える。

また、建築設計図の製作過程として、模型や建築CGも該当するとも言える。

ただし、個人情報のこともありYOUTUBEなどで公開できないので、どのような内容を伝えるのかが問題になる。

 

私は設計業とは、生き方の指針であり、購入者が参加してこそビジネスになるものだと考えている。関わる人の人柄や思考過程を見て頂き、購入者自身も参加して頂くことが重要だと思う。

その方法・ツールをどうするか。

 

プロセスエコノミー面白い考え方です。

 

OPENのあたま

宅建築において、マンションがルールになっている世の中のように思う。

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ベランダ

 

 

ただし、2階以上の床壁天井の付いたベランダがあるマンション。

戸建住宅で暮らすと庭の塀から頭がひょっこりとなんてかなりホラー。

それだけご近所付き合いが難しいのでしょう。

そこで住宅設計では

中庭作ったり

垣根で隠したり

カーテンテントしてキャンプみたいにしたり

ルーバーにしたり

と色々対策を考える。

 

視覚的にどう隠してどうOPENにするか

内側からなの?

外側からなの?

どこを開放したいの?

開放したいのであれば、

山の上?

海岸?

かなり大きな土地?

など土地に制約が付いてくる。

又はカーテンで隠してね!になる。

 

私としては建築の方法で考えたい。

・コートハウスパターン

・マンションパターン(2階を開放)

・壁・屋根・床で遮るパターン

・チラ見パターン

・町グリットからズラしたパターン

などの組み合わせ

 

大地を感じる

地域を感じる

そんな戸建住宅を目指したい。

 

 

省エネのあたま_パッシブデザイン

省エネ住宅とは?

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LIXILZoomオンラインセミナーでは、

改正省エネ法を手続きの観点よりも省エネ住宅における施主の求めていることは?

設計・施工がやらなければならないことは?

といった問題定義に観点を置いたものでした。

 

施主が求めているものは、

暑さ・寒さを軽減できる住宅、

結露やカビができにくい住宅、

光熱費が高くない住宅

などで、それを改正省エネ法によって取り組み方が明確になり他社と差別化されていく。

現在、設計・施工側は伝えやすいことのみで表現していないか?

  • 高断熱、高気密にしさえすれば・・・
  • ZEH(年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅)にしさえすれば・・・
  • 全館空調にしさえすれば・・・
  • ○○断熱工法にしさえすれば・・・

といった表現は、改正省エネ法の本質から離れていくと。

省エネ性能とは

断熱性能・保温性能・気密性能 +α であることを施主に説明が必要。

+αとは

  • 夏は遮り、冬は取得する日射計画
  • 暖房冷房機器だけでなく、給湯・LED照明・太陽光発電など機器計画
  • 空調換気の機器だけでなく、自然風の取り込む平面計画

などのように多様な計画が必要となり、「しさえすれば」では間違った捉え方になる。

LIXILセミナーですが、講師の方が機器だけではない点を話されていて印象が良いです。

 

設計・施工がやるべきこと

  • パッシブデザインを学ぶ
  • 外皮計算を学ぶ
  • 暖冷房計画を学ぶ
  • シミュレーションを学ぶ

パッシブデザインとは、太陽の光、熱、風といった「自然エネルギー」を活用・調節して、快適な住まいづくりをしようとする設計思想・設計手法。

 

過去にOMソーラーを主に導入している工務店さんと仕事をさせて頂いたときにパッシブデザインに関して多く学ばせて頂きましたね。

外皮計算(手続き用と計画検討用)、冷暖房計画はさまざまなシミュレーションを使って見える化にしていきたいですね。

シミュレーション参考/サイト・ソフト

 

省エネのあたま_改正

2021年4月より改正建築物 省エネ法が施行されます。

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それに伴い2020年度は講習会が開かれていて、そのまとめ。

参加したのは

国土交通省オンライン講座

LIXILZoomオンラインセミナー

 

改正のポイントは

  • 以前より適合義務だった大規模建築物(2000㎡以上)が中規模建築物(300㎡以上)に代わること。※確認申請手続きに連動。
  • 住宅(300㎡以上)は以前通り届出義務。
  • 小規模建築物・住宅(300㎡未満)は以前より努力義務だが、設計士が施主に説明義務の追加。

 

ということろでしょうか。

大規模・中規模はさほど影響ないでしょう。

小規模・住宅は書類が増えますし、施主に説明義務が生じます。

 

説明義務制度について(以下説明順)

  1. 省エネの必要性と効果の情報提供(リーフレットなどで)
  2. 建築主の意思確認(不要の場合保存)
  3. 省エネ性能の評価(省エネ書類の作成)
  4. 評価結果の説明(説明書面の保存)

1・2は重要事項説明時や契約時までに行い、内容はパリ協定や法律の趣旨から始まり、メリットとして光熱費の削減や快適性の向上・健康への利点、補助金もあること。デメリットとして計算費用や工事費用が掛かる旨の説明。そのほか風土に応じた住宅であることや住まい方・使い方の工夫なども説明とのこと。

ただし、建築主が不要と判断することも可能だが書面が必要で、設計図書と同じく保存が必要とのこと。

また、設計士以外が説明したり、不要へと誘導することは法律に反するとのこと。

 

3の評価をするため書類は住宅では(作業量大順)

  • 標準計算ルート
  • 簡易計算ルート
  • モデル住宅法
  • フロア入力法

がある。

スケジュールや作業費用が今までと違う点を施主にご理解いただかないといけないのですが、一般メディアには出ていませんね。国土交通省のサイトもまだ最終書類では無い旨を記載しているので仕方ないがないのでしょうね。

自粛期間中に落合陽一の2030年の世界地図帳を読んでいたので、SDGs改めて考えさせられます。